発注者支援業務、CM、PPPの市場規模と将来性について

 公共土木、建設分野の発注者支援業務、CM、PPPは、この10年間で30%も市場規模が成長しているものと考えられます。

 建設コンサルタント市場が今後、成長が見込めない中、隠れた成長分野と言えるでしょう。

 公表データが乏しい中で、現状、どの程度の市場規模があり、将来はどのようになるのか考察してみます。

現状の市場規模(発注者支援業務、CM、PPP)、従事人口の推計

①建設コンサルタント協会データより推計

 「その他」分野の受注総額、平成20年888億円→平成29年1,171億円 10年で32%増です。

 「その他」1171億円の6割が、発注者支援、CM、PPP関連と仮定すると、700億円程度となります。

 建設コンサルタント協会等に入会していない中小企業も多数あることを考えると、広義の発注者支援、施工監理、CM、PPP等を含めた市場規模は1000億円程度と予測できます。

※建設コンサルタント白書等による協会(5団体)部門別受注実績では、「施工計画・積算部門」のデータがなく、「その他」に含まれていまています。

②日経データより推計

 施工計画・・積算部門ランキング(2019日経コンストラクション)上位10社 受注金額合計は178億円でした。

 上位10社の建設コンサルタントランキング(総合分野)10社の総額は3,004億円、協会データ、総受注額が8,257億円であり、上位10社売上シェアは36%です。

 現状、業界内各社の大部分が、施工監理、発注者支援部門を既に保有していることから、上位10社の市場シェアは大きくないこと考えられ、市場規模は、建コン協所属企業で534億円(上位10社シェアの3倍)、協会未加入企業を含めると700億円程度の市場規模があると推測できます。

③まとめ

 発注者支援業務、CM、PPP業務の市場規模は、700億円~1000億円くらいの規模と推測できます。広義の分野、JICA,国際協力銀行等の海外案件のものも含めると1000億円くらいの市場規模と推測します。

 現状の従事する技術者数は、7,000人~10,000人くらいと推測されます。

発注者支援業務、CM、PPP分野の将来性(市場規模)

 発注者支援、CM、PPP関連の業務は、「みなし公務員」として、行政の代替として民間企業が行うものです。

 よって、将来的な市場の可能性として、現行政職の専門職員(インハウスエンジニア)業務が、どこまで民間企業に開放されるか推測する必要があります。

 将来市場規模を想定する上で、まず、現状の行政の公共土木、インフラ分野の技術職員がどの程度いるのか推定し、その可能性を考察してみます。

①現状の公共土木分野の公的機関の職員数

 現状の日本国内の、公共土木分野の行政職員は33.6万人程度、その他、鉄道、高速道路、公的住宅、電力、ガス、水資源など、その他財団、社団などの外郭団体などとしての、半公共的なインフラ・土木分野を合わせると、公共土木分野の職員数合計は50万人程度と予測されます。

■推定方法

公務員数:国58万人、地方294万人(2020年) 国と地方の公務員比率1:5

国土交通省 職員数 約56000人(2019年)

建設分野も国・地方が同比率と仮定すると、地方公務員(都道府県、市町村)の建設行政職員総数は、28万人

 国地方の建設行政職合計は、33.6万人(国5.6万+地方28万)

 旧公団、鉄道、特殊法人、公社等併せて、50万人

②現状の民間への開放度

 公共土木分野の行政等の職員数合計50万人に対して、現状の民間企業による発注者支援、CM、PPP従事者は、最大1万人程度とすると、現状の公共土木分野の技術職の民間への解放度は、わずか2%程度(1万/50万人)と推定できます。

 詳細には、発注者支援、CM、PPP業務の従事者の半分(5000人)以上が国土交通省関連と考えられるため、国土交通省に限って言えば民間開放度は10%(5000人/5.6万人)程度はあり、民間開放が進んでいます。

 その他、高速道路会社等も国交省同等レベルであり、ODA関連は、国際協力銀行などはインハウスエンジニアは、ほぼゼロであり、かなり進んでいます。

 一方で、地方行政(都道府県、市町村)においては、民間開放度1%未満で、ほとんど民間解放されていないと考えるべきでしょう。

③理論的な将来市場の可能性

 将来市場の規模の可能性としては、現状の行政職務の民間開放が、どこまで進むかにかかっています。

 理論的な可能性として、民間への開放度が20%になれば、現状の10倍の市場規模に成長する可能性があります。(市場規模:1兆円、従事技術者:10万人)

 現状の建設コンサルタント市場に匹敵する市場に成長する可能性があります。

将来市場に対して企業および技術者(個人)のやるべきこと

①留意点(市場拡大は非常にゆっくり進む)

 公共土木分野の発注者支援業務、CM、PPP分野の将来性は、理論的には現状の10倍以上の市場に成長する可能性があります。夢のある話ですが、「変化は急激には起こらない」ことを念頭に置く必要があります。

 市場の急拡大が起こらない理由は、日本型の組織構造にあります。

 民間も公共団体も日本の組織の大部分は、職能性、メンバーシップ型雇用と呼ばれる年功序列の終身雇用の雇用体系になっています。

 年齢に合わせて、職位も収入も上がるシステムは、「個人の職務範囲、責任や権限が不明確」、「職務の成果と報酬の関係が不明確」となってしまいます。誰も責任を負わない組織で、職場の空気(先輩後輩関係など)でなんとなく回っています。

 この雇用体系である限り、本格的な業務の民間開放は不可能です。

 なぜなら、組織・職務がブラックボックスであれば、外部に解放しようとしても手の付けようがありません。

 一方で、欧米(世界)では、個人の職務範囲が明確で、職務に対して報酬が決まっています。

 同じ仕事(ポスト)をやっている限り、基本的に給与は上がりません。これを職務制、ジョブ型雇用と呼ばれます。

 この方式は、個人(ポスト)と職務、責任、成果の関係が明確に定義されておりますので、外部から人材登用も、民間開放も、やりやすいのです。

 日本はバブル崩壊(1991年)以降、30年ゼロ成長、一方、世界の経済は3倍以上に成長しています。日本型メンバーシップ型雇用と世界のジョブ型雇用のどちらが優れているのか、明白です。

 しかし、既得権としての年功序列、終身雇用の安定した大企業の正社員、公務員の人達は、職務制、ジョブ型雇用制度の導入に断固反対するでしょう。

 現在、日本的雇用体系を堅持してきた大企業が急速にジョブ型雇用に切り変わり始めています。国際競争に晒されている産業分野は、変わらないと生き残っていけないからです。

 ところが、公的分野は競争・脅威に晒されていないので、自らが変わる動機はありません。

政治的な強力なトップダウンがない限り、不可能です。

しかし、長い目(10年~20年)でみれば、民間に追随する形で、ゆっくりジョブ型雇用への移行、それに伴う民間開放も進んでいくでしょう。

②狙い目は基礎自治体(市町村)

 現状の、発注者支援、CM、PPPは、行政組織のヒエラルキーの最下層、末端部分でしか動くことができません。

 年功序列、終身雇用の会社のマネジメント職は、長年に渡る奉公のご褒美であり、外部からマネジメント人材を受け入れることができないからです。

現状は、コンストラクションマネジメント業務でも、実態としては行政内でマネジメントできる権限があるわけではないです。

 国や都道府県といった組織は、インハウスエンジニアも多く、強固な組織であり、本格的なマネジメント部分の民間開放が起こりにくいでしょう。

 一方で基礎自治体(市町村)においては、少人数かつ脆弱なケースが見られます。

 こうした自治体においては、今後、思い切った民間活用の可能性があると思います。

③企業の戦略はどうすべきか

 現状は、民間開放も限定的ですが、将来、長期的に現状の10倍の市場規模が見込める分野です。

 大規模な民間開放業務はマネジメント的な部分が目玉になってきますが、現状のコンサルタント企業側に行政の技術職、インフラ分野を完全に代替して担う能力があるとは思えません。

 なぜなら、現状の発注者支援、施工監理、CM等の業務において、人出し的な要素も大きく、行政組織のヒエラルキーの末端で動く人材集めて派遣するといった形でビジネスをしている企業が多いのが実情であり、企業内で、PPP等で行政の代替となりうるようなノウハウの蓄積やコア人材の育成が行われていないからです。

将来のためにノウハウ蓄積等の投資的な活動をしなければ将来の市場の変化に対応できないでしょう。

 現状、ヒエラルキーの末端でも実務レベルのノウハウの大部分は蓄積できます。また、各社行政OBを受け入れており、そうしたOBからもノウハウは得られるはずです。

 現時点から個人の知識を組織として蓄積し、自治体等の建設行政を丸ごと請け負えるような能力獲得を目指していけば、将来、成功を収めることができるでしょう。

④技術者の目指すべきこと

 現状の発注者支援業務は、ゼネコンやコンサルなどの会社組織をドロップアウトした建設技術者が多く集まっている側面もあります。人材の流動性が高く、独立性が高いという点は本来のエンジニアに近い生き方です。

 現状は、あまり社会的地位も高くなく、組織に依存しない生き方を否定的に見る人もいますが、将来、市場開放が進み、市場規模も拡大し、CM、PPPといった、より高度な技術やマネジメント力が必要になってきた場合、現状の待遇、社会的地位等も大きく向上するでしょう。

 そうした将来のために、行政内の実務支援者として、行政実務を極め、資格も取得し、ノウハウを蓄積していくこと、さらに、行政マネジメント的な分野を学んでいく自己投資として有効になります。

 また、キャリアを積むために、より高度な業務へのチャレンジや、前向きな取り組みを行う企業に転職等を行うことも重要です。

おわりに

 発注者支援、CM、PPPと言った分野は、将来的には現状の建設コンサルタント市場を凌ぐ規模まで、市場規模が拡大していく可能性があります。

 こうした状況に対して、当社としては前向きに取り組み、企業に対して、有望な人材をご紹介していきたいと考えております。

 また、この有望な分野での活躍を望む建設技術者にも、前向きに取り組む企業をご紹介し、将来のキャリアアップのお手伝いをしたいと考えております。

 よろしくお願いいたします。

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