発注者支援業務の客先への常駐、非常駐の状況と職場環境

発注者支援業務における客先への常駐、非常駐の種類と状況等について解説します。

管理技術者は非常駐が基本

管理技術者は、複数業務を兼任し、非常駐で、各業務に月2日程度廻って、発注者支援業務の管理を行います。
管理技術者の手持ち業務量には入札参加上の制約があり、金額で2~4億、案件で5~10件程度が条件となっています。
契約範囲、仕様のチェックや、初回、中間、納品検査時等の打ち合わせ立ち合いの他、業務の進捗や、チームの状況を含めて、全体的な管理をします。
基本的には、担当技術者の行うような作業はしません。

ただし、問題があると役所から、呼び出されて面倒を見る必要があり、管理技術者も一緒に作業したり結構大変である場合もあります。
ベテランが多く、問題がない現場では、管理技術者を、お飾りだという人もいます。

担当技術者の常駐・非常駐の状況

  担当技術者は、一つの業務に専従することになり、業務実施は、常駐の場合と、非常駐の場合に分かれます。
それぞれの状況を以下に説明します。

常駐するケース(事務所内同室)

客先の事務所内で行政職員の中に混じって仕事をする形になります。
まず、格好が正職員と同じで、一見、正職員と区別のつかない場合があります。
 私が建設コンサルタント技術者時の経験ですが、自分の業務の客先担当職員でコンサルへの設計業務時の打ち合わせ等で業者への指示等を仕切っている人がいました。優秀な人で、同僚・上司からの信頼も厚そうでした。
 ずっと行政正職員だと思ってやり取りしていたのですが、ある日、発注者支援の技術者だと判明したことがあります。

  一方で、発注者によっては、正職員と別の色の作業着を着せて、同じ事務所内の末席に座っていうようなケースもあり、この場合、身分制度みたいな感じで、少しきついものがあります。

常駐するケース(事務所内別室)

  客先事務所内に別室を設け、そこで職務を行うケースです。
比較的大きなチームで派遣される場合の多くは、この方式になります。
発注者との対人関係的な苦悩は、小さいと思います。
 一つの部署みたいなものなので、すぐれたリーダーがいれば、リーダーの客先とのコミュニケーション力、作業指示、指導や助け合いや、分担など、チームのメリットを発揮し生産性が上がり易いです。発注者側も楽です。
 ただ、ハード的な職務環境としては、非常に狭かったり、倉庫みたいなプレハブだったり劣悪なケースもあります。
 ※まあ、最近の現場プレハブは、普通に快適ですが。
災害復旧等で、緊急対応が必要な場合等は、こういうケースがあります。

非常駐(客先近くに作業事務所賃貸)


 最近は、発注者支援業務は、規模も拡大しつつあり、客先事務所や工事現場の近所に別に作業事務所を賃貸するケースが増加傾向です。
この方式が、主流になりつつあるように思います。

 客先事務所近くのマンションの一室だったり、僻地で、規模が大きく、期間も長いものは、架設の事務所だったりします。
この場合、建設コンサルタント会社の出先の事務所といった感じになります。
 
 この方式のメリットは、発注者との適度な距離であることに尽きます。
呼び出されても、数分で行けて業務に距離的な支障はなく、かつ客先事務所とは、完全に別空間であることです。
 
 客先常駐が嫌われる理由として、常に客先の監視の目に晒されることにあります。
 客先と同空間というのは、常に緊張感があります。
 発注者側に厳しい人がいれば 呑気にお茶を飲むのも、客先の目が気になります。
 事務所内別室でも迂闊に、愚痴も言えません。どこで聞かれるか分かったものではありません。
 
 出先事務所(賃貸)というのは、客先からの監視の目もなく、また会社の上層部の監視の目もないので、ある意味、気楽な空間です。
 ※当然、仕事はしっかりしましょうね。
 派遣される社員も、心理的抵抗感が少なく、人員も確保しやすくなります。

非常駐(会社の事務所)

会社事務所での作業が8割、役所内での作業が2割と言った感じで作業を行う方式です。
この場合、会社事務所と客先がある程度の距離があっても大丈夫です。
僻地の場合、月に何度か出張を繰り返すことになり「まとまった作業の受ける」→「会社に持ち帰り作業」を繰り返すような働き方になります。
発注者支援の中で工事監督支援では、この方式はないです。現場近くにいないといけません。
技術審査、積算、用地関連などでは、比較的多いようです。

 この方式は、僻地でも転居や単身赴任等の必要がないので、人材を確保するのが最も容易です。

今後、IT技術の進歩と、リモートワークの普及により拡大が見込まれます。

評価

今まで挙げた常駐、非常駐、どの働き方も、メリット、デメリットはあると思います。
この中で、若手に一番お勧めなのは、常駐、事務所内で他の正職員と同様に働く方式です。
 私も国所管の研究機関に2年ほど出向した経験がありますが、出向先の正職員に混ざって仕事をしていました。
 行政(国交省など)からの出向者、プロパー職員、各コンサルからの出向者の寄せ集めみたいな感じですが、公務員気分を味わうこともできましたし、国交省(旧公団含む)のお役人や、いろいろな会社の人達と同僚になるわけですから、一緒に出張したり飲み会などもあり、親しくなります。
ようするに、甲乙の関係ではなく、同僚として働くことで、公務員的キャリアの疑似体験ができますし、何より楽しいです。
 キャリアの理想としては、監視の目はあっても最初は客先事務所内常駐で経験を積んで、その後、客先近くの出先事務所でチーム的に動いて、成果を上げるやりかたがベストなのかもしれません。
 なかなか、思うようにはならないかもしれませんので、いろんな職場を経験していくことが重要かと思います。

 ご参考になれば幸いです。

よろしければ「発注者支援、施工監理業務はキャリアとして有効か?」(別サイト)もお読みください。

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