発注者支援業務とは

 発注者支援業務とは、国交省、都道府県、自治体などの行政機関において「みなし公務員」として、公共土木分野の行政(発注者)が行う業務を民間企業が支援するものです。
 古くから、行政に出向して支援を行う業務はありましたが、平成18年の「競争の導入による公共サービスの改革に関する法律」により、民間入札が行われるようになり、近年の行政の人員・人材不足等により、民間活用の拡大が期待されています。
 以下に業務の概要を整理します。

1.発注者支援業務には どのようものがあるのか

 発注者支援業務等と呼ばれ、大きくは以下の四つに分かれます。
「発注者支援業務」:積算、工事監督、技術審査の支援
「公物管理補助業務」:河川、道路の維持管理の支援
「用地補償総合技術」:用地補償、各種申請等の支援
「その他の業務」:上記に該当しないもの、調査設計資料整理業務など
 それぞれの、内容を以下に示します。

2.発注者支援業務の内容

①積算技術
工事の積算に必要な工事発注用図面、数量総括表、積算資料、積算データの作成等の業務の支援
②工事監督支援
工事の節目ごとに、工事目的物の寸法、位置、使用する材料の材質等についての、適否の確認及び、監督員への報告や、工事施工業者から提出される資料と現場状況の照合及び、設計変更協議用資料の作成等の支援
③ 技術審査
入札契約手続きにおける企業の技術力評価のための審査資料の作成等の業務の支援

3.公物管理補助業務の内容

【河川関係】

①河川巡視支援
河川が常時良好に保たれるよう、管理する区域(河川区域、河川予定地、河川保全区域)を巡視することにより、その時の状況を把握し、河川の異常・変状及び不法占用等の状況を報告・記録するとともに、必要な措置を講ずる
②河川許認可
審査支援河川関係法令等に基づく申請書類の審査、許可工作物の監督検査、苦情・問い合わせ対応、台帳整備、危機管理対応等の支援
③ダム管理支援
ダム、貯水池や関連設備等を管理する上で必要な監視、点検、ゲート操作、気象水象等の観測記録及びダム管理資料整理等の業務の支援
④堰・排水機場等管理支援
管理する堰や排水機場及び樋門等の操作支援並びに操作に必要な情報収集や目視による点検業務

【道路関係】

①道路許認可審査・適正化指導
各種申請書類の審査・指導、道路の不正使用、不法占用の指導取締り、境界確認申請審査・現地立合い、特殊車両通行の指導取締り等の支援

4.用地補償総合技術業務の内容


損失の補償等を要する権利者に対し、公共用地交渉方針の策定を行ったうえで公共用地交渉等を実施し、損失補償の承諾を得る等
                  出典:国土交通省説明資料より

5.その他(上記以外)の業務


 上記以外に、広義の発注者支援に類するものとして、様々な業務があります。
 例えば、調査設計資料整理業務、 設計積算資料整理業務、水質・底質分析等業務、水文観測所維持管理業務、水文資料標準照査業務、道路情報管理業務などで、計画・設計分野の支援や、観測、情報分野など、支援のための業務範囲は、多岐に渡っています。

おわりに

 発注者支援業務は、すべての建設分野(河川、道路、施設等)に及びます。また、計画設計~施工、維持管理に至る建設事業の全体のフローに関与できる可能性があります。
 発注者支援の経験は建設技術者のキャリアの一環として大変有用なものとなるでしょう。
 また、今後、活躍する範囲の拡大が期待される分野でもあります。

よろしければ、下記コラムもご覧ください(別サイトへ移ります)

発注者支援、施工監理業務はキャリアとして有効か?

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